映画とその原作

小説でも詩でもルポでも戯曲でもいいけど原作がある映画とその原作について無駄口をたたく

『関ヶ原』(2017)『関ヶ原』(2017)

さすが原田監督も映画少年のはしくれ、秀吉の死のシーンが『市民ケーン』だった。布団の中で息を引き取った滝藤秀吉の手から手毬が転がり落ち、それを岡田三成が拾い上げる。そこからすべてのドラマははじまる。「ローズバッド」『市民ケーン』と比べるとい…

『襲い狂う呪い』<未>(1965)

DIE, MONSTER, DIEMONSTER OF TERROR悪霊の棲む館(TV)上映時間 80分製作国 イギリス公開情報 劇場未公開・ビデオ発売監督: ダニエル・ホラー 原作: H・P・ラヴクラフト 出演: ニック・アダムス 、ボリス・カーロフ 「異次元からの色彩」または「宇…

『山椒大夫』(1954)

はじめて溝口の『山椒大夫』を見た。これは森鴎外の描いた説話文学の原作によく似ている。が、内実は全く違う変貌を見せた。原作をゆがめているわけではない。原作の持っている親子愛、別れと再会のドラマの骨格は完全に残している。だが、原作が潜在的に持…

『メッセージ』(2016)

原作『あなたの人生の物語』のあなたは主人公ルイーズ・バンクスの娘のことだ。これは娘が誕生するまでの物語だ。ルイーズは、娘に「あなたの人生」を語っていく。時間をさかのぼる形で。それと並行して宇宙人の言語解読のドラマがつづられる。ウェーバー大…

『美しい星』(2016)

原作をいままで読まないでいたが、映画化したのを機会に一読した。読み終えた日に早速、映画館に足を運んで観た。 仙台の映画館だったけど、仙台が舞台のシーンは無し。大年寺山から泉ヶ岳方向を眺めてUFO探す場面見たかったけど残念。入会権(今時知らない…

『少女』(2016)

こんなにも重くて深刻な暗いドラマだとは思わなかった。 本田翼を使ってこんなに息苦しくも重苦しい作品にしてしまうとは、それはそれで一種の才能だったかも知れない。それとも一瞬の才能か。お笑い芸人・児嶋一哉が出ていながらひとかけらの笑いすらとろう…

『アイアムアヒーロー』(2015)

2013年に撮影したと有村架純はブログには書いています。 有村はここで菩薩となってしまったように神々しいのです。 出演シーンの大半でみずから行動せず、ただ寝ているだけか、かつがれているか、おぶさっているか、ショッピングカートで運ばれているだけ。…

『桐島、部活やめるってよ』(2012)

制作者たち、特に脚本者や監督は、原作からタランティーノの匂いを嗅ぎ取ったのに違いない。原作の中の映画の気配が犬童一心が消えて、タランティーノ、ロメロ、『鉄男』に差し替わっている。映画部の神木はゾンビ映画を摂ることにした。そして顧問の先生か…

『007/黄金銃を持つ男』(1974)

自動車に翼つけて飛べるのか。飛べるのだ。こんなSFショーは無論、原作にはない。スカラマンガという悪党とボンドとの対決というプロットだけ原作からいただいて、オリジナルのストーリーに仕上げたろくなもんじゃない。ダニエル・クレイグの『007/カ…

『野火』(1959)

とにかく主人公・田村は生き残る。昭和45年2月のフィリピン島。終戦の半年前だ。飢えた敗残兵の群れが泥の河をわたって向こう岸の草原を匍匐前進する。カメラは目の前の林に向かっていく。まっすぐの木立がキレイに並んで奥が暗闇になっている。その暗闇の間…

『ストレイヤーズ・クロニクル』(2015)

最近、豊原功補の活躍ぶりが目立つ。テレビドラマの『マザー・ゲーム』とか面白くない映画だった『新宿スワン』など脇をしっかり固める類のいい役者だ。 ストレイヤーズクロニクル 本作では元エリート自衛官で、自前で民間警備会社を経営し、悪徳政治家渡瀬…

『華氏451』(1966)

現実の社会を撮影して未来世界を描いた映画といえば、『惑星ソラリス』『アルファヴィル』そしてこれ『華氏451』がベスト3だ。 原作で出てくるファンタジックな魅力いっぱいのたんぽぽ少女クラリスは登場しない。モンターグの隣人は登場して、当局に目を…

凶悪(2013)

上映時間 128分 監督: 白石和彌 原作: 新潮45編集部 『凶悪―ある死刑囚の告白―』(新潮文庫刊)脚本: 高橋泉 白石和彌 撮影: 今井孝博 美術: 今村力 衣裳: 小里幸子 編集: 加藤ひとみ 音楽: 安川午朗 出演: 山田孝之 ピエール瀧 リリー・フランキー…

『PARKER/パーカー』(2013)

ストーリーは原作『地獄の分け前』のプロットをかなり忠実に踏まえている。 クレアに父親(ニック・ノルティ)がいるところは違っているが、おかげでジェイソン・ステイサムがパーカーというよりも『エクスペンダブルズ』のクリスマスに見えてきた。ニック・…

『メイド・イン・USA』(1967)

ホレス・マッコイ『明日に別れの口吻を』をアンナ・カリーナが滞在しているホテルのベッド上で読んでる。 後には別の人物、男が同じ本を読んでいるシーンが出てくるが、『悪党パーカー/死者の遺産』を原作としつつなんということか? なぜジェームス・キャ…

オーソン・ウェルズの オセロ(1952)

THE TRAGEDY OF OTHELLO: THE MOOR OF VENICE上映時間 94分製作国 モロッコ監督: オーソン・ウェルズ 製作: オーソン・ウェルズ 脚本: オーソン・ウェルズ 撮影: アンキーゼ・ブリッツィ G・R・アルド ジョージ・ファント 音楽: アンジェロ・フランチ…

『彌勒 MIROKU』(2013)

プロと学生が共同で映画を企画・製作していく“北白川派映画芸術運動”を展開する京都造形芸術大学・映画学科の学生と林海象が協力して完成させた映画。併映の『乙女の祈り』という『日々の泡』にオマージュしたような短編モノクロ映画と合わせると3部作を構成…

ゴールデンスランバー(2009)

キル夫(三浦くん)は原作にも登場する。濱田岳よりもっとスマートだが(だと思う)。定禅寺通りで首相凱旋パレードが行われてそこで暗殺されるというのは、原作と違う。教科書倉庫ビルは定禅寺通りではなく、東二番丁通り近くにある。旧電力ビルのナナメ向…

『ハイ-ライズ』J・G・バラード

ドクター・ロバート・ラング医師、教師、25階に住む。姉が同じマンションに住んでる。独身、離婚歴有り。中流階級代表。姉と女優のエリナ・パウエルの二人の女性の保護者然とした存在にラストは収まる。溺れ死した犬がプールに浮いていたときにその死骸を引…

『恐るべき子供たち』(1950)LES ENFANTS TERRIBLES

鏡は不吉さの契機。 「鏡が彼女の心を掻き乱した。エリザベートは眼を伏せて、薄気味の悪い手を洗った。」 このマクベス夫人のような冷徹な仕草は、もちろん映画でも表現される。 コクトーがオマージュした『ポールとヴィルジニー』は無辜な男女が世俗の汚れ…

『カラスの親指』(2012)

まず原作について、読書メーター 「カラスの親指」メイキング&インタビュー集 - YouTube 最初に競馬場でサンタマリアをだます詐欺、ここが原作と違う。 原作だと銀行での詐欺だ。 流れはほぼほぼ同じだが、ディテールが違っている。というか省いてしまって…

「プリンセス・トヨトミ」

万城目学原作 p389文春文庫 円の中央に浮かぶひょうたんの図柄を、竹中は驚きと懐かしさとともに迎えた。それは三十五年ぶりに見る風景だった」 はじめに大阪城が赤く染まる。 次に要所要所にひょうたんが置かれる。 p391 「長浜ビルにひょうたんを見たとき…

『組織』(1973)

原作者の脚本でよくできた例外の作品。まさにこれ。 原作だと組織のいろんな拠点に襲いかかるのが、パーカーの知り合いの犯罪者たちとなっている。映画はパーカーではなく、アール・マクリンと名を変えている。ウェストレイクが許さなかったからだ。ウェスト…

『のぼうの城』の2映画篇

秀吉はいろんな映画やドラマでいろんな役者が演っている。本作、市村正親でまず間違ってはいなかった。『テルマエ』みたいに風呂に入って尻を出しているのだが、それも混浴なのだが。一緒に湯に浸かる女は壇蜜がよかった、という後悔は否めない。のぼう=成…

007/カジノ・ロワイヤル(2006)

原作の発表が1953年だから、50年以上を隔てての(二度めの)映画化だ。 舞台も現在に置換えられて原作が書かれた頃にはなかった小道具が頻出する。 携帯電話とPCとかインターネットだ。 ボンドの愛車アストン・マーティンも最新式で登場するが、ヴェスパー…

「007/カジノ・ロワイヤル」原作篇

p109 創元社推理文庫 井上一夫訳 シュマンドフェールでもバカラでも、三度目の勝負というのが鉄壁の障害になるのだった。第一と第二の試練で勝つことはできても、三度目の勝負は大抵負けになる。 「カジノ・ロワイヤル」は二度映画化されている。 007は二度…

黒澤明式『どん底』(1957)

どん底(1957) メディア 映画 上映時間 137分 製作国 日本 初公開年月 1957/09/17 外国文学の翻案による映画化を黒澤は何作か手がけている。 その全てが見事に日本の土壌に移し替えられ、原作が外国のものと想像もつかないものさえある。 『どん底』はそのひ…

『黒い雨』井伏鱒二作

まだ読んでいる途中だが、おそろしく密度が濃い作品だ。ほんの数ページの中に原爆が落ちた広島の犠牲者たちの模様がつぎつぎに描かれていく。 これを映画化したのは今村昌平だったが、いまさらながら今村のバイタリティの強さに驚くばかりだ。 今村昌平の最…

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994)

レスタト。 名前をいつ告白するのかがポイントになる。 原作者が脚本を書いた本作だけに、アン・ライス自身がそれを十分に心得ていた。 だから映画では、ルイス(ブラッド・ピット)が「レスタト」と口走った時にサンディエゴというパリのヴァンパイアに狙わ…

『のぼうの城』その1

「長親は図抜けて背が高い。脂肪がのっているため横幅もあり身体つきは大きいが、容貌魁偉であるとか、剛強であるとかいった印象を一切ひとに与えなかった」 というのがのぼう様と呼ばれる主人公、成田長親の外見だ。このように小説には書かれているが、野村…