『組織』(1973)
原作者の脚本でよくできた例外の作品。まさにこれ。
原作だと組織のいろんな拠点に襲いかかるのが、パーカーの知り合いの犯罪者たちとなっている。映画はパーカーではなく、アール・マクリンと名を変えている。ウェストレイクが許さなかったからだ。ウェストレイク自身、リチャード・スタークと名を変えている。
原作は、「人狩り」→「逃亡の顔」→「組織」→「弔いの像」と連続したストーリーを背景としたシリーズものだ。主人公悪党パーカー対組織(アウトフィット)という一連のストーリーが。
その中から前後を無視する形で『組織』のところだけ取り出して脚本にしているので、前後の切り口をならす必要があって、そこが映画のオリジナルとなっている。
パーカーではなくマクリンだけ主人公がそもそも違う。パーカーは禿じゃない。
組織の銀行の襲ってしまったために報復として殺し屋がやってくる。そんなところから映画ははじまる。まずマクリンの兄が殺された。相棒のコディ(ドン・ベイカー)の店にもやってくるが運良く逃れた。そしてマクリンは、返り討ちにする。
パーカーが女といてアウトフィットが雇った殺し屋に襲われるのは同じだ。一緒にいるエリザベス・ハーローは、映画でカレン・ブラックが演じたマクリンの情婦の名も同じだが、小説のハーローはパーカーのピストルを持ってその場から疾走してしまう。
そのピストルが次作『弔いの像』につながる布石になるのだが、映画のカレン・ブラックは終始マクリンにつきまとい、組織を攻撃する時にも行動を共にしてドライバーの役割をする。どちらかというと悪党パーカーシリーズ第1作『人狩り』に出てくるパーカーの妻
に近い。一度はマクリンを裏切るが刑務所を出てくしたると出迎えて借りていたキャビンに案内する。そこに殺し屋がやってくるのだ。マクリンは殺そうとするが、ベスが命乞いして助けてやる。そもそもベスがキャビンの手配してもらったつての先から居場所がもれて殺し屋がやってきたのだ。
殺し屋の自白で依頼主を調べ、かれらがポーカーをしているところを襲いにいくのは、原作通り。それから飲み屋を経営する組織の一角を攻撃しにいくところも同じだ。この時点でマクリンは相棒コディとベスと行動を共にするが、原作では一人だ。
一匹狼のパーカーに家族など居るはずもないが、マクリンには兄が有り、一緒に銀行を襲って組織に殺される。
その報復でマクリンは動き出す。
コディは原作のハンディ・マッケイに当たるのだと思う。
組織の親玉の居場所を突き止めたマクリンたちがラストでボス宅に討ち入りに向かう。まさにヤクザ映画のラストと同じだ。
ベスが流れ弾で殺されたその復讐の意味もある。
コディが撃たれて、助けながらの脱出劇は、まるで『羊たちの沈黙』だ。または『レノン』。