「007/カジノ・ロワイヤル」原作篇
p109 創元社推理文庫 井上一夫訳
シュマンドフェールでもバカラでも、三度目の勝負というのが鉄壁の障害になるのだった。第一と第二の試練で勝つことはできても、三度目の勝負は大抵負けになる。
「カジノ・ロワイヤル」は二度映画化されている。
007は二度死に、バカラは3度めに負ける。ゴールドシップはジャパン・カップで沈んだ。
(というのは間違いで解説によれば、3度映画化されている)
「ゴードンのジンを三、ウォッカを一、キナ・リレのベルモットを二分の一の割合で。氷みたいに冷たくなるまでよくシェークして、それからレモンの皮をうすく大きく切ったやつをいれる。わかったね?」(引用p.68)
フランス共産党系労組の大物ル・シッフルとボンドがカジノ・ロワイヤルで対決。お互いの腹の子がなくなるまでバカラを繰り返す。
結果はかろうじてボンドの勝ち。
その間に女スパイと仲良くなる。ヴェスパー、それはボンド考案のオリジナルカクテルに命名の名誉を得る。
しかし、美貌の英国秘密情報員ヴェスパー・リンドは謎の女だ。
ボンドが受けるきんたまの拷問の後は、この女とボンドとの死闘だ。
きんたまの機能が失われているかどうかを試すことも兼ねて、リンドと関係を持とうとする。
ばかりか、結婚まで申し込もうとする。
しかしヴェスパーは簡単にボンドのものにはならない。愛しているというのに。
ヴェスパーには裏がある。
それはある意味、『プリンセス トヨトミ』の旭ゲーンズブールにも共通する。
敵側の女を愛するスパイ。
その無様さを乗り越えることで、真のジェイムズ・ボンドが誕生する。
それがシリーズ第1作の役割だ。
ル・シッフルを暗殺したスパイ暗殺団スメルシュはまだ健在である。
続編の敵を予告しての閉幕。
なんかこういうTVシリーズものあった気がする。洋物かなんか。